平成24年度 桂川・相模川流域協議会流域シンポジウム
水源環境保全・再生かながわ県民フォーラム

川の声を聞こうよ 桂川〜相模川

−絶滅危惧種 カワラノギクの保全− 
−山梨・神奈川両県が共同して行う水源環境の保全・再生−
報 告

主催:桂川・相模川流域協議会・水源環境保全・再生かながわ県民会議
日時:2012年24年11月24日(土) 13時から16時半
場所:相模女子大学 3号館 314号室



出席者:268名(一般参加者213名、関係者55名)

 開催趣旨

 桂川・相模川流域協議会では、山梨・神奈川両県流域の市民・事業者・行政が一体となって、流域環境の保全に取り組んできました。 取組の一つとして在来種で絶滅危惧種のカワラノギクの保全活動を行っており、 今回はカワラノギク保全活動報告をとおして、流域の河川植生を保全していくことの大切さを発信していきます。
 神奈川県では、良質な水を将来にわたって安定的に確保するため、県民お皆様にご負担していただいている、 個人県民税の超過課税(水源環境保全税)を財源として、水源の森林づくり事業などの水源環境保全・再生事業を展開しています。 水源環境保全・再生かながわ県民会議は、学識経験者や県民(公募)などの合計24名で構成され、 水源環境保全・再生事業の点検や評価、県民の皆さまへの情報提供を行なっています。
 平成24年度からスタートした「第2期かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」では 山梨県内での森林整備や生活排水対策が盛り込まれました。 今回は、山梨・神奈川両県で水源環境を守ることの必要性や重要性について考えていきます。

 開場・パネル展示の様子・主催者あいさつ


ロビーの様子

 

倉橋満知子 桂川・相模川流域協議会代表幹事の
あいさつがありました。


 第1部 基調講演 「生物多様性を考える」講師:養老 孟司 氏

「生物多様性」という言葉は、英語(biodiversity)からの造語。
自然は忠実で、生きものはすべてつながっている。
世界の海は自分とつながっていて、たち切っているのは人間。
なぜ生き物が違うことが大切なのか?動物は同じにならないが、人間は意識が優先し、意識が寄って同じになっていく。
今の時代、人間はほとんどが病院で生まれ、92%が病院で亡くなる。ということは、今、我々は「仮退院中?!」
「花鳥風月」を感じることの大事さ、など講演してくださいました。 


 第2部 活動報告「相模川にカワラノギクを復活させよう!」

 今年度の流域シンポジウムの基調である「生物多様性」については、1993年に生物多様性条約、2008年6月に生物多様性基本法が制定され、その保全が法的に初めて位置づけられました。 2012年9月の生物多様性国家戦略2012−2020では、具体的な望ましい川の姿として、河原特有のカワラノギクなどの河川の多様な生態系の保全の必要性が示されています。  神奈川県生物多様性検討委員会は、平成23年7月、「神奈川県における生物多様性の保全に向けて」(提言)をまとめ、河川の生物多様性の保全について明確にしました。
 一方、桂川・相模川流域協議会は会の行動指針(2002年)に「生物の生息・生育環境の保全、貴重種希少種及び植物群落等の保護」を明記し、生物の多様性の保全、再生に取り組んでいます。 最近では、相模川支流の魚道調査、田んぼの生き物調査、外来植物のシナダレスズメガヤ生育分布調査、外来動物のアメリカザリガニ調査(継続中)を行ってきました。
 また、カワラノギクを守る会、NPO法人愛・ふるさと、相模川湘南地域協議会、さがみはら地域協議会などの団体が相模川、中津川で、絶滅が心配されるカワラノギクの保全活動に取り組んでいます。
 今回は相模川の生物多様性保全の指標的植物であるカワラノギクの保全をテーマとしています。相模川でのカワラノギクの保全活動を多くの方に知っていただき、ご協力をお願いいたします。



カワラノギクを訪ねて(映像報告) 岡田 一慶(桂川・相模川流域協議会 市民部会)

 YouTube動画はこちらから

 カワラノギク カヌーの旅(1)

 カワラノギク カヌーの旅(2)

「カワラノギクの保全活動について」  コメンテーター 秋山 幸也(相模原市立博物館 学芸員)



1956年、大島で確認されたカワラノギクの標本が市立博物館に保存されています。
花が咲く(11月)→結実→種が1月ごろ落ちる→枯死→発芽(4月)だが、1年草?多年草?


「みんなでできる保全活動」  
カワラノギクを守る会、NPO愛・ふるさと、相模川湘南地域協議会、さがみはら地域協議会


カワラノギクの保全活動は、外来植物や雑草などとの戦いにもなります。圃場を作成し、種をまき、昔の景観をと、活動しています。
みなさんに、保全活動への参加をぜひお願いいたします。
相模原サポートセンターのチャレンジスクールに子ども2名、暑い中活動に参加してくれました。若い方に活動を知っていただき、拡げていきたい。ボランティアだけでは限界があるので行政にも入っていただくことが大事。

「津久井湖の湖底に沈んでしまった地域にもカワラノギクが生えていたんですよ。」という証言がありました。
「カワラノギク」のルーツ・自然史をふまえることも大事ではないでしょうか。





神奈川県立博物館所蔵の標本に、寒川で採取されたカワラノギクであることを見ることができました。
相模川湘南地域協議会では、神川橋下の圃場で毎月第3日曜日を保全活動の日としました。12月16日より定期的に活動を開始します。



<保全活動の主な内容>
1月 種取り 3月種まき 5月〜9月除草・水遣りなど 10月お花見
通年 外来植物・雑草の除草を予定しています。
みなさん、ぜひ参加してください。



  第3部 パネルディスカッション
   「山梨・神奈川両県が共同して行う水源環境の保全・再生」

<パネリスト>
淺枝 隆 (埼玉県大学院理工学研究科教授
天野 望 (旧津久井町長 現:水源環境保全・再生かながわ県民会議副座長)
木平 勇吉 (東京農工大学名誉教授)
長江 良明 (山梨県森林環境部技監・森林整備課長)

進行:田崎 日加理(フリーアナウンサー)


田崎アナウンサーの司会のもと、パネリストの方々が現状や展望、それぞれ思いを話しました。

  閉 会

養老先生の著書が、会場にいる方の中から抽選で5名の方が当選されました。
熱のこもった講演・報告が会場の皆さんに伝わり、閉会となりました。

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