日時:2015年5月23日(土) 13時〜16時
|
定期総会 報告内容1.開会
開会のあいさつ 代表幹事 相模原市水みどり環境課 野崎課長 2.講演 「日本の土地制度の課題」 〜次世代に地域の土地・水・森を適切に引き継いでいくために〜
公益財団法人 東京財団 研究員 吉原祥子 先生 東京財団は民間のシンクタンク。六年ほど土地問題を研究。 顧問の安田喜憲先生が研究で各地を歩く中、山の手入れが行き届かず、できれば手放したいという声もきくようになった。 昔から、「森と水の循環」は日本の社会の基盤。今、山にどんな問題があるのか。2008年プロジェクトをたちあげる。 「論点」
・土地の所有・利用実態に関する情報基盤やルールが整備されていない。 ・土地の「管理放棄」「権利放置」の増加と「所有者不明化」の進行。 相続する際、登記をきちんと書き換えていないなど。 ・地域の資源保全、土地利用、防災、徴税などにおける支障のおそれ。 ・制度見直しの必要性と、地域での取り組みの重要性 地域で課題を発見し、解決し、それを積み上げて全国で成功事例としてひろげていくことが大事なのではないか。 根本問題として、土地の所有・利用実態を行政が把握しきれていない。把握が難しい。 時代の変化: ・地域社会の縮小・・・高齢化、人口減少。林業低迷。森林(土地)資産価値の低下。 ・経済活動のグローバル化・・・土地、水、森が国際的な投資対象に。 ・土地所有者≠在村地主≠管理者・・・所有者の多様化、不在化、匿名化 国は森林の所有権移転について事後届け出を義務化 ・・・事後に届け出ても遅いという懸念から、都道府県が事前に届けるように条例の制定に動く。 市町村の動きとして、 「地下水保全条例」制定・・・北海道ニセコ町、長野県佐久市など地域が地下水を守ろうという動きから。 「水資源保全全国自治体連絡会」 2014年7月設立 全国149自治体が加盟。 日本の土地制度から考えると (1)歴史的経緯:地租改正、大日本帝国憲法施行(財産権の規定)、民法施行(所有権の規定) (2)権利の規定 財産権(憲法第29条) 所有権(民法第207条) 日本の現行の土地制度では海外に比べて所有権が強く、売買・利用規制も緩い。 (3)実態把握 @地籍調査 進捗率51%。 A売買届出(国土利用計画法に基づく) 売買成立後2週間以内にと決められているが、捕捉率は不明。 B不動産登記制度 権利登記は任意。「資産価値<登記コスト」により、登記書き換えを放置する傾向。 平均地価 宅地:35,613円/u に対して、森林:14円/u 登記コストは森林も宅地も同じ。 資産価値の低い土地の管理放棄、権利放置が進むおそれから、流域保全活動への影響も。 人口減少・グローバル時代にふさわしい土地制度の整備に向けて
国、地域、流域協議会として「守るべきところ」「守るべきこと」は何か? 様々なケースを想定し、問題を未然に防ぐための制度、整備を。 <国> ・不動産登記制度および地籍調査のあり方の見直し。 ・国土・資源保全の観点からの実効性のある売買・利用ルールの整備。 ・水循環基本法(2014年4月成立)に基づく法制整。 <地域、民間> ・地域の土地の所有・利用実態に関する基礎情報の整理(不動産登記、地籍調査など)。 ・低・未利用地にかかわる、新たな土地所有・管理の仕組みの創出。 ・新たな仕組みに対する公的支援のあり方の検討。 →新たな仕組みの創出に向けた事例の蓄積と発信が必要 質疑応答のようす 吉原祥子先生、ご講演いただき、ありがとうございました。 3.地域協議会 事業報告
5.閉会
閉会のあいさつ 代表幹事 山梨県 森林環境総務課 若林課長 皆様、お疲れ様でした。 ▲Top Home |